研究実績の概要 |
本年度の研究では、島根大学疾病予知予防プロジェクトセンター(現:島根大学地域包括ケア教育研究センター)が主体となり中山間地域の住民を対象とした高齢者コホート研究(Shimane COHRE Study)における追跡調査データを活用し、抑うつ度とソーシャル・キャピタルの関係性を定量的に明らかにするとともに、3年間の研究を通して得られた知見を広く一般に公開するためのデータ構築を行った。 さらには、本研究において分析対象とした集団は、高齢者コホート研究の集団(平均年齢が70歳前後の集団)であったことから、より若い世代の知見を得るためにスウェーデンのルンド大学との国際共同研究を補完的に企画・実施した。具体的には、ルンド大学がこれまでの研究において蓄積してきたデータベースより20歳~44歳の住民(188,907名)を7年間追跡したデータを構築し、ソーシャル・キャピタルと抑うつ度との関係性について定量的に明らかにした。 以上の研究成果を通して、横断研究の知見に基づき論じられてきたソーシャル・キャピタルと抑うつ度の関係性が時間的な順序に基づき明らかになるとともに、先行研究で用いられてきたソーシャル・キャピタル指標について、どのような集団で抑うつ度と関係するのか否かという点についての知見を発展させることが出来た。本研究で使用した高齢者コホート研究のデータは、申請に基づき他の研究者の利用が可能となるよう整備していることから、今後、他地域との比較研究等の発展的な議論が有益であると考えられた。
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