研究実績の概要 |
研究代表者はこれまでに、大腸菌由来の再構成型無細胞翻訳系(PUREシステム)を駆使することにより、Nアルキルペプチド骨格および環状骨格の翻訳ペプチドへの構築に成功してきた(Kawakami et al., Chem. Sci., 5, 887-893, (2014)、Kawakami et al., J. Am. Chem. Soc., 135, 12297-12304, (2013)等)。また、分子進化工学的手法の一つであるmRNAディスプレイ法と組み合わせることによって、抗体に匹敵する結合力および特異性(アイソフォーム選択的レベル)で標的ヒトタンパク質に結合する新規環状Nアルキルペプチドリガンドを創製することに成功してきた。 昨年度は、PUREシステムとmRNAディスプレイ法を組み合わせた抗体様の環状Nアルキルペプチドリガンドの創製技術に、汎用ヒト腕型ロボット技術等を取り入れることによって、無細胞発現システムHUPEXにより調製されたヒトタンパク質に特異的に結合する抗体様リガンド群を網羅的に創製し、プロテオミクス研究に応用することを目的として研究を進めた。 本年度は、生体直交性化学反応(銅フリークリック反応)を利用して、PUREシステム内での抗体様低分子リガンド修飾DNA間の反応の濃度依存性について検証を行なった。In-gel fluorescenceによる解析の結果、アジド修飾DNAと蛍光修飾シクロオクチンの反応、および、シクロオクチン修飾DNAと蛍光修飾アジドの反応から、DNA間の反応の濃度依存性を決定することに成功した。また、PUREシステムとmRNAディスプレイ法を組み合わせて、ヒトタンパク質に特異的に結合する抗体様リガンドを新たに創製することにも成功した。
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