研究課題/領域番号 |
15H05375
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小坂田 文隆 名古屋大学, 創薬科学研究科, 講師 (60455334)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ウイルス遺伝子工学 / 2光子顕微鏡 / カルシウムイメージング / 軸索 / 遺伝学 / Cre / 視床核 / AAV |
研究実績の概要 |
V1に入力する神経細胞種を同定する目的で、逆行性ウイルスをマウスV1に微量注入し、LGNおよびLPの神経細胞がV1へ投射することを見出していた。そこで本年度は視覚情報処理におけるLGNおよびLPの役割を明らかにする目的で、以下の研究を実施した。 カルシウム応答性タンパク質GCaMP6を神経細胞に発現させると、GCaMP6が軸索終末にも分布し、投射先にて軸索終末におけるカルシウム変化を記録できる。一方で、視床においてウイルスの感染を単一の神経核に限局させるのは非常に難しく、特にLGNとLPは隣り合う神経核で、片方の視床核にのみ特異的に遺伝子導入するのは難しかった。そこでLGNあるいはLPに特異的に発現するマーカーを探索した。その結果、LGNに特異的にCreを発現するLGN-CreマウスとLPに特異的にCreを発現するLP-Creマウスを同定することに成功した。Cre依存的にカルシウム応答性蛍光タンパク質GCaMP6mを発現するAAV-FLEX-GCaMP6mをLP-CreマウスのLPに微量注入した。その結果、LPに特異的にウイルスの感染が認められ、LPの投射先においてもウイルス感染細胞の軸索終末を観察することができた。同様にAAV-FLEX-GCaMP6mをLGN-CreマウスのLGNに微量注入した所、LGNに特異的にウイルス感染が認められ、LGNの投射先においてもウイルス感染細胞の軸索終末を観察することができた。またLP-CreマウスのLGNにAAV-FLEX-GCaMP6mを、あるいはLGN-CreマウスのLPにAAV-FLEX-GCaMP6mを微量注入しても、GCaMP6mを発現する細胞は認められなかった。現在、LGN特異的な軸索終末あるいはLP特異的な軸索終末から2光子顕微鏡イメージングを行い、視覚応答を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Cre発現マウスの導入に時間を要したが、特定の視床核にのみ特異的なウイルス感染が認められた。2光子顕微鏡によるイメージングの実験系の導入もできた。以上より、おおむね順調に進んでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、2光子顕微鏡イメージングと組み合わせて光遺伝学・薬理遺伝学の導入を行う。技術的に難易度の高い実験系なので、再現性良くデータを取得できるように、実験手技の練習が必要と予想される。データの解析方法にも工夫をしていきたい。
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