研究課題
本研究は、弓矢技術の存在を示唆する間接的・直接的な考古学的証拠を多角的に集成・分析し、弓矢猟の出現と波及プロセスを解明する。そのため、弓の投射実験によって石器に生じるマクロ・ミクロ痕跡の解析をおこない、それに基づいて考古資料の分析をおこなう。これにより、弓矢猟の出現期を明らかにする。また、石鏃、矢柄研磨器、弓のデータベース構築を行うことで、弓矢猟が波及するプロセスを定量的に評価する。最終年度となるH30年度は、ヨーロッパおよび日本の後期旧石器時代初頭の小型狩猟用石器の分析結果を評価し、当該期に弓矢技術が存在した可能性について考察した。昨年度分析したイタリアのカヴァロ洞窟の狩猟用石器(三日月形細石器)の分析結果は、当該分野の研究において極めて重要な成果であったため、先史考古学において最も権威のある国際先史学・原史学連合のパリ大会において発表した。また、その成果を論文にまとめ、ハイ・インパクトジャーナルに投稿した。本成果により、西ユーラシアに最初に拡散してきたホモ・サピエンスが、既に投槍器あるいは弓矢猟技術を獲得していた可能性があることを示すことができた。更に、韓国のジングヌル遺跡の分析により、東ユーラシアに拡散してきたホモ・サピエンスも、投槍器・弓矢猟技術を所有していたことを示すことができた。以上の研究成果により、投槍器あるいは弓矢猟の技術は、ホモ・サピエンスが出アフリカを果たし、ユーラシア大陸各地に拡散した頃には既に獲得されていた可能性が高いことを示すことができた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Archaeological Research in Asia
巻: 17 ページ: 1-1
doi:10.1016/j.ara.2018.03.001
巻: 17 ページ: 1
doi:10.1016/j.ara.2018.10.003
Archaeological and Anthropological Sciences
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
doi.10.1007/s12520-018-0703-x.
第四紀研究
巻: 57 ページ: 229-237
doi.org/10.4116/jaqua.57.229