1980年代後半以降の教育の普及と2000年以降の著しい経済成長で注目される現在のバングラデシュにおいて、現在20代の若者世代は、いずれの動きにおいても「当事者」として注目されている。本研究は、この若者世代の労働や高等教育の機会を求めた農村から都市への空間移動と、彼らが目指す階層移動に着目し、当事者的視点から当該社会の社会変動をとらえることを目的に進めてきた。 最終年度の平成29年度は、主にこれまでの現地調査を元に議論を深め、国際学会や学術雑誌での発表を試みた。具体的には2017年8月にバングラデシュ現地に渡航して若干の補足調査および現地研究協力者との研究会をもった後、2017年10月にアメリカ・ウィスコンシン大学で開催された第46回アメリカ南アジア学会に参加し、現地研究協力者らとともにパネル「The Life Strategies of Young Generation in Contemporary Bangladesh」を組んで、各自が発表した。そこで発表した内容は、バングラデシュで発行されている人類学雑誌(Nribigyan Patrika)に査読論文として投稿している。また、2018年1月にバングラデシュ・ジャハンギルノゴル大学で開催された第5回国際ベンガル学会においても研究発表を行った。 なお、本研究課題は、平成30年度から31年度の2年間「国際共同研究加速基金」による共同研究として発展させることが決まっていたため、2017年8月と2018年1月のバングラデシュ現地渡航時には、今後の発展計画についても議論を重ねた。平成30年度には8月から7か月間のバングラデシュでの共同研究を予定しており、その間に、本課題成果と合わせた国際シンポジウムを実施することを計画している。
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