1980年代後半以降の教育普及と著しい経済発展で注目されるバングラデシュでは、「教育第一世代」の若者たちを中心に、労働や高等教育の機会を求めた農村から都市への移動、さらに、教育や経済を資本とした階層移動を目指す動きが加速化している。本研究は、農村の若者、農村から都市へ移動する若者、都市部の大学生を対象に、彼らの空間移動と階層移動に着目し、「移動」を通じて形成するコミュニティ、そのなかで築く若者文化について考察した。第一世代の彼らにとっては、グローバル化の影響を強く受けた生活環境や情報と既存の価値との間で階層移動に至るには制限があるものの、彼らなりの価値観と生存戦略の試みを捉えることができた。
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