研究課題/領域番号 |
15H05393
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
吉見 太洋 南山大学, 経済学部, 准教授 (30581798)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 決済通貨 / 為替パススルー / 貿易頻度 / 輸送 |
研究実績の概要 |
本研究課題の主な目的は、貿易取引の決済通貨の違いが、為替相場パススルーや貿易額、貿易の輸送頻度等にどういった影響を与えるか、理論的・実証的に明らかにすることである。二年度目となる2016年度の具体的な研究実績としては、一編の成果論文(Law, Kai Po Jenny, Eiji Satoh and Taiyo Yoshimi. 2016. Exchange rate pass-through at the individual product level: Evidence from Japan and Thailand. Society of Economics Working Paper Series No.57 (September), Nanzan University.)をワーキングペーパーとして発表し、査読付き国際誌に投稿したことが挙げられる。当該論文は、日本とタイにおける中古建機オークションの価格データを、個別機械の個体番号に基づいてマッチングし、日本における購入価格とタイにおける再販価格の間の為替パススルーを計測している。ここでは、買い手にとって値下げとなるような為替変動は再販価格に転嫁されるのに対して、買い手にとって値上げとなるような為替変動は再販価格に転嫁されないという現象が観察された。これは当該市場の価格競争度が高く、買い手の需要を減退させるような為替パススルーが実現しにくいことを示唆する。また、当初予定にも記した決済通貨が貿易額、貿易頻度等に与える影響に関する研究について、実証分析の頑健性を更に確認するとともに、理論モデルの構築についても方向性をまとめることが出来た。また、関連の研究成果について複数の国際学会で報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画においては、決済通貨と為替パススルーに関わる論文と、決済通貨と貿易輸送頻度に関わる論文の計二編をまとめるとしていた。しかしながら、これまで研究を進めるにあたって、これら二つのテーマは不可分な要素があるため、一編の論文にまとめることが適切であると考えるに至った。この方針変更を踏まえて実証分析の結果を改めて洗い直すとともに、論文構成の再検討を行っている。当初予定ではこれらのテーマについて、2017年度に論文の執筆にとりかかるとしていた。しかしながらこの方針変更に伴う分析の再検討がまだ不十分であるため、2017年度はじめはまだ論文の執筆にとりかかれる状況にはなっていない。この意味で、こちらのテーマに関しては若干当初予定よりも進捗が遅れていると言うことが出来る。
一方、これまで二年間研究を進めていく中で、当初の計画にはなかった追加的な関連研究への取り組みも進めている。具体的には二つの追加的テーマを考えている。一つ目は、日本からタイに輸出される中古建機の個別機械価格に対する為替パススルーの推計というものであるが、こちらについては【研究実績の概要】にもある通り、既に南山大学のワーキングペーパーとして成果を取りまとめ、査読付き国際学術誌への投稿を済ませている。二つ目は、為替が日本とタイ、それぞれの中古建機オークション価格に与える影響について分析するもので、現在データと理論仮説の整理を行っている。
つまり、当初予定をしていた研究テーマについては若干進捗が遅れているものの、新設のテーマについて既に一本の論文執筆を済ませ、更にもう一つの追加的なテーマへの取り組みを始めている状況である。これらを踏まえて、課題全体としてはおおむね順調に進展していると言うことが出来る。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では当初、決済通貨が為替パススルーに与える影響と、貿易取引頻度に与える影響について、合計二編の論文をとりまとめることを計画していた。しかしながら、これまで研究を進めるにあたって、これら二つのテーマは不可分な要素があるため、一編の論文にまとめることが適切であると考えるに至った。したがって、当初予定していた二通りのテーマを一つにまとめることで、一編の論文をまとめていく方針で目下研究を進めている。既にタイの税関データを用いた実証分析の結果は得られ、理論仮説の設定も一通り済んでいるため、本年度以降は精緻な理論モデルの構築に力を入れていきたいと考えている。また、既に現状得られた成果については複数の学会・研究会で報告を進めている。本年度も引き続きこうした周知活動を行いながら、理論モデルの構築と論文としてのとりまとめを進める計画である。
また、当初の計画にはなかった追加的な関連研究への取り組みも進めている。具体的には、為替相場が日本とタイにおける中古建機オークション価格に影響を与えるかというものである。当該研究については、協力企業より日本とタイの中古建機オークション価格のデータ提供を受けている。これらのデータを用いて、以下二通りの追加的関連研究に取り組んでいる。一つ目は、日本からタイに輸出される中古建機の個別機械価格に対する為替パススルーの推計で、こちらについては【研究実績の概要】にもある通り、既に南山大学のワーキングペーパーとして成果を取りまとめ、査読付き国際学術誌への投稿を済ませている。二つ目は、為替が日本とタイ、それぞれの中古建機オークション価格に与える影響について分析するもので、こちらは現在データと理論仮説の整理を行っているところである。こちらの研究についても、本年度内に一定の実証結果を得たいと考えている。
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