研究課題/領域番号 |
15H05395
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
Frank Bjoern 上智大学, 地球環境学研究科, 准教授 (30467039)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 消費者行動 / CSR |
研究実績の概要 |
本研究は、CSR活動の各次元及び時間的変動、CSRマーケティングの各手法・各対象が、顧客のブランドへの態度及び顧客ロイヤルティに与える影響を比較し、これらの影響メカニズムにおける、文化及び業種等の文脈による差を解明することを目的とする。 昨年度は、CSR活動と顧客ロイヤルティを繋げる概念的枠組みを検証するために、消費者を対象にした包括的なアンケートを設計した上で、アンケートの内容を複数の業種に適応し、ファーストフード店及び洋服、ソフトドリンク、スーパーマーケット・コンビニ、腕時計に集中する複数のアンケートを作成し、データ収集を始めた。今年度は、日本でのデータ収集を継続し、アンケートを複数の言語に翻訳し、各アンケート・言語のオンライン・アンケートを作成した上で、現地調査とオンライン調査を組み合わせながら海外からのデータ収集に力を入れた。中国とボリビアから複数の業種について膨大なデータを収集し、米国及びフランス、ボリビアからの追加的なデータ収集を準備し、そして収集したデータを電子化し、妥当性を確認した。 現段階で収集したデータでモデルの一部を検証した。まず、顧客によって知覚されたCSR活動は、企業イメージ及び実用的かつ快楽的、象徴的、経済的な顧客価値を介して総合的な顧客満足度に影響を与えること、社会的CSRの方が環境的CSRよりも影響力が大きいこと、そしてCSR活動に関する具体的な情報への露出が特に企業の感情的な評価の向上に繋がることを明らかにした。次に、CSR活動と企業イメージの関係を深く分析し、CSR活動が企業の親近感及び便益、ステータスのイメージには影響を及ぼすが、企業イメージの他次元には影響を及ぼさないことを確認した。また、顧客が企業以外の情報源から得る、企業のCSR活動情報は企業イメージに正の影響を与える一方で、企業が直接発信する情報は負の影響を与えることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
共同研究者の協力を快く得ることができたため、対象国の順番を前後し、アンケート調査の範囲を当初の計画よりも速く広げることができた。消費者を対象にするアンケートについては、予測した進捗以上のものとなっており、特に日本及び中国、ボリビアで膨大な調査を行った。
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今後の研究の推進方策 |
設計した、複数のアンケートを多言語に翻訳し、国内外の調査を行い、新たなデータを収集する。研究協力者の都合で、対象となる国が初期の計画に比べて前後する場合があるため、日本と中国、フランス、米国、ボリビアからデータを収集する予定である。また、新たな研究協力者によって、さらに韓国を対象国に加える可能性がある。また、研究協力者とともに、収集してきたアンケートへの回答をエクセルファイルに入力することで、電子化により分析可能な形に変換する。次に、本調査の全ての対象国のデータを統合したデータに基づき、統計的な分析を行い、研究論文を作成し、国際学会及び国際学術誌に投稿する予定である。
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