本年度は,知的好奇心を刺激する課題として,トリビアクイズ課題とマジックショー課題を作成し,その刺激の妥当化を行い,最後にそれらを用いた行動実験を行う予定であった。
トリビアクイズ課題と,マジックショー課題の作成は予定通り進んだ。具体的には,200以上のトリビア質問からなるデータベースを作成し,HP上に公開した(www.koumurayama.com)。データベースでは,1500人以上の被験者から集めたデータをもとに,好奇心や興味の評定,また遅延再生課題(1週間後のトリビアに関する記憶を問う課題)の結果を記している。また,4人のプロのマジシャンと契約を結び,100以上のマジックのビデオクリップを作成した。これらのマジックはほとんどが1分以内のものであり,マジシャンの顔を隠すなど心理実験に適した課題で処理がなされている。
トリビアクイズとマジック課題の妥当性を調べるため,いくつかの予備調査を行った。これらの予備調査では,被験者がトリビアクイズの答えやマジックのタネをしるために,どの程度喜んで金銭的な損失や身体的な努力を受け入れるかを調べ,ポジティブな結果を得た。さらに,これらのトリビア課題とマジックショー課題を用いた行動実験もいくつか行った。たとえば,1つの研究では,トリビアクイズの記憶が,トリビアによって喚起された知的好奇心とどのように関係しているのかを調べた(論文は現在投稿中)。これらの刺激を用いた実験に限らず,数多くの調査や行動実験を通して,内的報酬や動機づけについての研究を積極的に行った。
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