研究課題
近年、合成技術の発達によって、様々なサイズや形状を有する金属や半導体ナノ結晶が生成されるようになった。これらのナノ結晶を組織化させた集合体は、共同的な性質を示し、高度な光学的または電子的な機能を発現することが報告されている。これまでに、正負に帯電した配位子や可逆的に光反応する分子でナノ結晶を被覆し、それらの分子間に働く静電相互作用や双極子-双極子相互作用を利用して、ナノ結晶は組織化されてきた。この他にも、ナノ結晶を組織化させる方法は数多く提案されているが、サイズや形状、保護分子(吸着分子)などのビルディングブロック自体の性質を巧みに利用したものがほとんどであり、ナノ結晶の精密な合成と表面設計を必要とする。本研究では、ナノ結晶を分散させた溶媒が化学反応すると、それによって生じる平面的な濃度の偏りに沿ってナノ結晶が組織化する現象を詳しく調べた。モデル系として、主に、ポリオール法で合成した銀ナノワイヤーを光反応性の溶媒(モノマー)に分散させた懸濁液を用いた。この溶液にフォトマスクを介して、パターン光を照射すると、生成物の空間的な濃度の偏りに応じて、銀ナノワイヤーが移動し、集合体が形成した。赤外分光測定から、反応収率を求めたところ、収率によって、集合構造の周期に変化が生じることを確認した。本研究で提案する方法は、銀ナノワイヤー以外のナノ結晶に適用することもでき、普遍的にナノ材料を組織化できる手法として期待している。また、生成したフィルムは、一定の電気伝導率と光透過率を示し、工業的に利用することも考えられる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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