研究課題
本研究では、低アスペクトナノポアデバイスをコア技術とし、溶液中に浮遊している生体物質の「3次元形状分布解析法」の技術開発と原理構築を目的としている。具体的には、エクソソーム(細胞分泌顆粒)を低アスペクトナノポアに通過させ、ナノポアを流れるイオン電流の変化からエクソソームの「3次元形状分布」を1 ~35 nmの空間分解能で解析を行う。がん細胞由来のエクソソームは、正常細胞から分泌された物に比べ、「粒径分布」や「形状分布」が異なる。そのため、「3次元形状分布解析法」を開発することで、エクソソームをがんマーカーとした新しいがん検査デバイスの実現を目指している。前年度までは、厚さ35 nm、直径200 nmの窒化シリコンナノポアを用いて、「大腸ガン細胞」「肝臓がん細胞」「乳がん細胞」由来のエクソソームの「粒径分布」と「形状分布」を評価した結果、粒径(短軸長)分布はいずれも近い値を示したが、形状分布ではいずれも異なる分布を示し、形状分布からエクソソームの識別が可能であることを明らかにしてきた。これらのエクソソームは培養サンプルであるため、今年度は実際のがん患者と健常者の血液に含まれるエクソソームの形状分布を同様の実験によって比較を行った。その結果、がん患者(乳がん)のエクソソームの形状分布は健常者のものに比べ明らかに異なる分布を示した。この違いが本当に乳がんに由来するものかはどうかを議論する必要があるが、エクソソームの形状分布を用いたがん診断の糸口が見えた。また、理論計算によってナノポア内のエクソソームの動的解析も行い、より定量性をもって形状分布等を解析できることを明らかにした。さらに、ナノポアに光を照射することで、局所電場によるエクソソームのポア通過速度を制御できる可能性を理論的に示し、そのためのボトムアップ技術を構築した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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セラミックス
巻: 未定 ページ: 1未定
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