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2017 年度 実績報告書

界面イオン伝導顕微鏡の創成

研究課題

研究課題/領域番号 15H05422
研究機関金沢大学

研究代表者

高橋 康史  金沢大学, ナノ生命科学研究所, 准教授 (90624841)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワードナノ電気化学セル / ナノピペット / 電気化学イメージング
研究実績の概要

電池の理論容量と実容量のギャップを埋めるには、イオン伝導経路の詳細な理解が必要である。そこで、独自に開発を行ってきた電気化学セル顕微鏡(SECCM)を用いて、実電池材料表面でのイオン伝導度の不均一性のナノスケールでの可視化と、結晶レベル(粒界や結晶面)でのイオン伝導度の定量評価、材料内や電解液中のリチウムイオンの濃度プロファイルの可視化を行う。計測により得られた知見から、電池内での効率的なイオン伝導を可能とする電池構造や活物質のコーティングなど、これまで最適化が困難とされてきた電池の界面設計の指標を示す。本年度は、グローブボックス内でのSECCM計測を確立し、有機溶媒やLi参照極の使用が可能となった。このことで、リチウムイオン2次電池の負極材料の評価が可能となり、チタン酸リチウム(LTO)の計測を行った。LTOは、高速充放電が可能な負極材料としても注目されているが、SECCMの計測により、コバルト酸リチウム(LCO)とLTOでのCVの掃引速度を変えて電流応答を比較した。また、デジタルマイクロスコープをグローブボックス内に配置し、材料表面の位置をデジタルマイクロスコープで確認しながら、SECCM測定を行うことが可能となった。さらに、蓄電池以外の材料として、水素発生反応の触媒材料として注目されているMoS2の活性サイトのSECCMイメージングに関しても着手し始めた。MoSの水素発生反応の触媒活性の高いサイトはエッジ部分にあることが知られており、実空間でエッジ部分とテラス部分での活性の違いを可視化することに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

グローブボックス内でのSECCM計測を確立し、有機溶媒やLi参照極の使用を可能とした。このことで、リチウムイオン2次電池の負極材料の評価が可能となり、LTOの計測を行った。LTOは、高速充放電が可能な負極材料としても注目されている。そこで、SECCMの計測により、LCOとLTOでのCVの掃引速度を変えて電流応答を比較した。LTOでは、CVの際のピークセパレーションが狭く、明らかに充放電を高速で行える材料であることを示すことができた。さらに、ナノスケールの電気化学計測では、100 V/sの高速CVでも容量電流に埋もれずに酸化還元電流を見えることから、より詳細な電気化学特性を評価していく予定である。また、蓄電池以外の材料として、水素発生反応の触媒として期待されているMoS2のナノシートの電気化学イメージングを行い、エッジ部分で高い活性があることを電流イメージとして可視化することに成功した。

今後の研究の推進方策

これまで電気化学セル顕微鏡(SECCM)の計測において、溶液のしみこみ状態を見積もることが困難であり、XY方向と、Z方向の材料の利用体積を求めることができなかった。そこで、より定量的な計測を行うため、薄膜技術を利用してサンプルの深さや面積を制御し、SECCMの計測にGITTやPITTなどの電気化学計測手法を用いて、材料中のLiの拡散係数を見積もる。さらに、MoS2に関しては、ひずみの影響や、MoS2とWS2などのヘテロ界面における触媒能など、試料の構造や界面に特異的に生じる触媒能を調査する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 3D electrochemical and ion current imaging using scanning electrochemical-scanning ion conductance microscopy.2017

    • 著者名/発表者名
      4)Takahashi, Y.; Ida, H.; Matsumae, Y.; Komaki, H.; Zhou, Y.; Kumatani, A.; Kanzaki, M.; Shiku, H.; Matsue, T.
    • 雑誌名

      Physical Chemistry Chemical Physics

      巻: 19 ページ: 26728-26733

    • DOI

      10.1039/C7CP05157C

  • [学会発表] 走査型プローブ顕微鏡を用いた局所電気化学計測2017

    • 著者名/発表者名
      高橋康史
    • 学会等名
      2017年 電気化学会北陸支部秋季大会
    • 招待講演
  • [学会発表] Nanoscale electrochemical imaging by scanning probe microscopy2017

    • 著者名/発表者名
      Yasufumi Takahashi
    • 学会等名
      New Electroanalytical Techniques and Their Emerging Applications (IWNET-2017)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Visualization of Nanoscale Inhomogeneous Current Distribution on ZrO2-Coated LiCoO2 Thin-Film Electrodes using SECCM2017

    • 著者名/発表者名
      Yasufumi Takahashi, Inomata Hirotaka, Daiko Takamatsu, Akichika Kumatani, Hitoshi Shiku, Takheshi Fukuma, Tomokazu Matsue
    • 学会等名
      9th Workshop on Scanning Electrochemical Microscopy (SECM)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] Scanning Electrochemical Microscopy, Compendium of Surface and Interface Analysis2017

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Y.
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      Springer
    • ISBN
      978-981-10-6156-1

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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