研究課題
本研究では、酸化亜鉛ヘテロ界面のさらなる高移動度化を進め、主にメゾスコピック伝導の手法を用いることで、偶数分母分数量子ホール状態の解明を行うことを目的としている。酸化亜鉛二次元電子ガスの作製については、1,000,000cm2/Vsを超える電子移動度をもつ界面試料を安定的に作製することに成功し、その分子線エピタキシー成膜技術の詳細を改良の過程を含め論文にまとめた。酸化亜鉛ヘテロ界面の分極差によって実現される30psという長い量子散乱時間は、ヒ化ガリウム系二次元電子ガスにおける10ps程度の値を超えるほどまでに到達しているが、この更なる向上を目指して、様々な分極構造をもつヘテロ界面試料を作製しその極低温量子輸送測定を行った。量子散乱時間と輸送散乱時間の変化を比較することにより、酸化亜鉛ヘテロ界面のさらなる品質向上のためには、バックグラウンドの不純物と界面における乱れの低減が最も重要であることが明らかになった。既に観測に成功していたν=3/2という新しい偶数分母分数量子ホール状態については、様々なポテンシャル変調をもつアンチドット構造における整合性抵抗振動の観測から、スピン偏極した複合粒子の形成を示唆する結果が得られた。エアギャップトランジスタやアンドレーエフ反射・ジョセフソン効果を示す超伝導接合の作製等の周辺基盤技術の確立が進んでおり、偶数分母分数量子ホール状態の更なる解明を進める。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 8件、 招待講演 2件)
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