研究課題
本課題では,高Q値シリコンナノ共振器を用いたシリコンラマンレーザーの光利得機構の理解,発振特性の解明を目指してきた.最終年度の成果を記す.【光利得機構の理解】前年度までに行ってきた時間分解測定について,数値計算を行った.励起光により発生した2光子吸収キャリアに起因するキャリアプラズマ効果と熱光学効果により,共振波長変化が引き起こされ,光利得の動的変化を引き起こしていることを確認した.本成果を論文にまとめて投稿した.おなじく前年度までに行ってきた,ラマン発光励起スペクトルによるラマンレーザの利得形状の強度変化について論文執筆を行った.【発振特性の解明】前年度までに行ってきたラマンレーザの統計的評価と発振特性の関係に関する論文を投稿した.Q値,波長,周波数差,ラマン利得の相関についても詳細に調べた.また,体積を増加したラマンレーザー構造において,初めて高次共振モード間でのラマンレーザ発振を確認した.今後,論文執筆を進める.1.3 um帯と1.55um帯で動作するラマンレーザーの1チップ化にも成功した.これも論文執筆を進めた.前年度までに準備していたラマンレーザの温度特性評価をようやく行うことができた.予想に反して室温より高温では発振閾値が上昇して,逆に低温側では減少した.キャリア寿命が大きくからんでいると予想している.真空中では,ナノ共振器表面に付着物が付いてQ値が下がるため,残念ながら,低温クライオスタットによる測定には成功しなかった.今後の課題とする.【当初の予定を超える成果】フォトリソグラフィーで作製した高Q値ナノ共振器の論文を出版した.結晶方位が45°回転したSOI基板を用いたフォトリソグラフィーによるラマンレーザ作製も行った.最終年度のため,50万円を超える機器の購入は無かった.本研究は,京都大学野田進研究室,産業技術総合研究所岡野誠研究員の協力を得て行った.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (30件) (うち国際学会 15件、 招待講演 4件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
Conference on Lasers and Electro-Optics (CLEO 2018), OSA Technical Digest
巻: - ページ: FF1E.4
CLEO Pacific Rim (CLEO-PR 2018), OSA Technical Digest
巻: - ページ: -
応用物理2018年10月号
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