研究課題
2017年度はSubaru/COMICSを利用したOphIRS48原始惑星系円盤の中間赤外線観測研究の論文化を行った。また、TMT用中間赤外線観測装置であるMICHIに関係して、国際協力の進展を進めた。さらに、次世代地上中間赤外線観測の実現に向けた冷却チョッパの実現に向けて、チョッパシステムの1次試作を行った。具体的には、遷移円盤天体であるOph IRS48のSubaru/COMICSを用いた中間赤外線円盤形態が、長軸方向が明るい理由を、内側円盤と外側円盤が揃っていないこと(内側円盤が外側に対して傾いている)で説明できる主旨の論文を投稿し、年度末に受理された。(Honda, Okada, et al. PASJ in press)。将来中間赤外線装置 MICHI に関して、テキサス大学のChris Packham准教授他と議論し、White Paper の作成と申請、およびインドや中国の研究者との共同研究に向けて議論した。また、冷却チョッパ開発に関しては、低温下(20~30K)での低発熱(<0.1W)に注意し、通常銅線を用いたアクチュエータを用いた冷却チョッパシステム設計と1次試作を進めた。現在の常温での駆動特性(ボード線図等)の評価を進めているところである。また、制御システムの検討も進めており、計測制御のためのMATLABを用いたリアルタイム制御機器を導入し、現在調整中である。今後はまずは常温での特性をきちんと評価したうえで、低温での駆動特性評価を進め、改善点を洗い出し、2次試作も並行して進める予定である。
3: やや遅れている
既存のすばる望遠鏡を用いた原始惑星系円盤の観測研究に関しては、順調に進展した。遷移円盤天体であるOph IRS48のSubaru/COMICSを用いたフォローアップ観測データの解析および議論を行い、内側円盤と外側円盤面の一致/不一致が、中間赤外線熱放射で見られる形態に影響を及ぼすことを示し、論文化した (Honda, Okada, et al. PASJ in press.)。将来中間赤外線装置 MICHI に関して、テキサス大学のChris Packham准教授他と議論し、White Paper の作成と申請を行った。また、インドや中国の研究者と 国際研究会 TMT Forum 等で共同研究に向けて議論した。冷却チョッパ開発に関しては、前年度判明した当初想定していなかったMgB2超電導線材シース材の磁性の問題が見つかり、通常銅線による開発に切り替えた関係で遅れ気味である。そこで、低温下(20~30K)での低発熱(<0.1W)に注意し、通常銅線を用いたアクチュエータを用いた冷却チョッパシステム設計と試作を進めた。また、計測のためのMATLABを用いたリアルタイム制御機器を導入し、現在のその常温駆動特性の評価を進めているところである。今後は低温での評価を進め、改善点を洗い出し、2次試作を進める予定である。
原始惑星系円盤の観測研究に関しては順調に進捗しており、2017年度には Oph IRS48 の円盤構造とHD142527円盤構造に関しての比較議論を行った観測論文を出版した(Honda,Okada, et al. PASJ in press)。今後は、中間赤外線観測に加え、さらに近年著しい成果をあげているALMAを用いた観測との比較研究も進める予定である。また、原始惑星系円盤の中間赤外線時間変動観測も検討しており、想定以上の成果を期待している。また、将来中間赤外線装置 MICHI に関して、引き続きテキサス大学のChris Packham准教授と連携し、MICHIの TMT community からのサポートを増やすべくインドや中国の研究者共同研究に向けて議論する。今年の7月に中国での会議を計画している。一方で、冷却チョッパ開発に関しては、前年度判明した当初想定していなかったMgB2超電導線材シース材の磁性の問題が見つかり、通常銅線による開発に切り替えた関係で遅れ気味である。今年度1次試作の常温・低温での駆動試験を進め、並行して改善した2次試作品の作成・評価も始める予定である。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
The Astrophysical Journal
巻: 855 ページ: id. 62, 16 pp.
10.3847/1538-4357/aaaa72
The Astronomical Journal
巻: 154 ページ: id. 16, 12 pp.
10.3847/1538-3881/aa7578
巻: 836 ページ: id. 118, 23 pp
10.3847/1538-4357/836/1/118