研究課題/領域番号 |
15H05444
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松本 伸之 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (30750294)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 光計測 / 光制御 / 機械光学系 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、光計測・光制御技術を応用した5 mg振り子の振動モードの冷却を実現した。
具体的な実験内容は下記の4つである。(1)5 mg懸架鏡の振り子振動モードを離調した三角光共振器の一端とすることで、振動モードを約2 Hzから1 kHzまで増大した、(2)光共振器の反射光を測定することで懸架鏡の変位情報を取得した、(3)取得した情報を5 mg懸架鏡とは異なる鏡(ただし、同じ三角光共振器を構成する鏡)にアクティブフィードバックした、(4)5 mg鏡とフィードバック対象の鏡は離調した光共振器による光ばね効果で結合されているため、フィードバックによって5 mg懸架鏡の振動モード温度が約300 Kから約10 mKまで低減したことを確認した。つまり、最終的な目的の一つである、振動子の振り子振動モードのフォノン数を1(実効温度約50 nK)未満まで冷却するための原理検証に成功したと言える。
また、超高真空測定系を開発するために以下の項目を実施した。(1)大型超高真空容器を設置した。性能評価の結果、1e-6 Pa程度の真空度を実現した、(2)真空対応の多段防振系の設計、(3)様々なメーカーの移動ステージ、リモートアクチュエータ、ミラーホルダ等の機械部品の脱ガス試験を実施し、装置の選定を行った。以上の結果、目標である1e-5 Paを実現する見通しが立った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画していた光計測と光トラップを利用したアクティブ制御による振動モードの冷却に成功した。 しかし、異動に伴う装置の移管等のため、低損失懸架系の開発に関しては、予定していたほどの進展がなかった。 よって、進捗状況としては「(3)やや遅れている」が妥当である。
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今後の研究の推進方策 |
28年度は超高真空測定系の開発、光源の安定化、低損失懸架系の開発を実施する。 実施が遅れている懸架系の開発に関しては、当初予定していたカーボンナノチューブファイバーを用いるだけでなく、炭素繊維を利用した懸架鏡の開発を最初に実施する。 炭素繊維を用いた場合でも十分な性能が得られる可能性はある。 また、この場合ファイバーの紡績が必要ないため、装置開発の時間が短縮可能である。
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