研究課題
本研究では光速の行き帰りの差を、シリコンを入れた非対称光リング共振器を用いて測定することで、世界最高精度での光速の異方性探査を行う。光速度不変の原理は光子のLorentz不変性と結びついており、異方性探査を行うことはLorentz不変性の破れ探査を行うことに相当する。我々はこれまで、簡易な真空容器と回転系、光学系を用いて、1e-15レベルでの異方性探査を行ってきた。これは奇パリティ実験としては世界最高精度であるが、回転に伴う振動雑音で制限されていた。そこで2015年度は振動雑音低減のため、モノリシック光学系の設計開発を進めてきた。2016年度は回転台の改良を行うことで回転に伴う振動の低減を目指した研究を進めた。ロータリーコネクタで電源を供給し、回転台の上にレーザー光源や光学系、制御システム、データ取得系を構築することで、これまで実現できていなかった一方向への連続回転を実現した。その結果、磁場に由来する雑音が問題になることが判明した。そこで、コイルを用いて磁場雑音カップリング率を事前に測定しておくことにより、雑音除去を行う手法を確立した。また、回転に伴うストレスによる雑音が影響することがわかった。これはロータリーコネクタの回転軸と回転台の回転軸の不一致が原因であることをつきとめ、回転軸の微調整を行った。以上の工夫により、回転に伴う電気系の雑音と機械系の雑音が十分に低減できることがわかった。連続回転機構がほぼ完成したと言える。
2: おおむね順調に進展している
2016年度は主に回転台の改良を進めた。連続回転により、回転に伴う雑音が生じることが予想され、実際に観測されたが、着実に雑音特定と低減ができた。これにより、回転台に起因する電気系雑音や機械系雑音が問題にならない程度に抑えることが可能であることがわかった。そのため、おおむね順調に進展していると言える。
2017年度はモノリシック光学系の開発を行い、2015年度に開発した回転機構と組み合わせて、観測運転を行う。
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Phys. Rev. A
巻: 94 ページ: 033822
https://doi.org/10.1103/PhysRevA.94.033822
http://granite.phys.s.u-tokyo.ac.jp/michimura/wiki/