研究課題
若手研究(A)
新開発の放射冷却式断熱フィルターRT-MLIを、GroundBIRD望遠鏡に組み込み、望遠鏡の性能向上を行なった。その結果、望遠鏡の窓から300Kの放射熱を導入した状態で、超伝導検出器を、0.20Kまで冷却できた。当初の目標は0.22Kであり、それをさらに20mK低温まで冷却することができた。望遠鏡の感度は、オランダ宇宙研究所からお借りした検出器を用いて評価し、目標とする感度を達成している事を確認した。期間内に観測開始までは至らなかったが、現在スペインの観測地にて測定の最終準備を進めている。
宇宙素粒子物理学
電波望遠鏡は、「大型化」と「検出器の冷却」によって高感度化を実現する。しかし、大型化が進むと光を取り入れる窓からの熱流入が増加し、検出器の冷却が難しくなるため、この二つを高い次元で両立する技術が求められていた。本研究は、その技術を編み出し、本格的に応用した最初の例である。申請者が発明したRT-MLIの技術をCMB偏光観測装置に応用し、期待以上の断熱性を実現できた。この技術は他の電波望遠鏡にも容易に適用可能で、業界全体のブレークスルーをもたらすと期待している。