研究課題
本研究は、偏光制御された超短光パルスを磁性体に照射することで、逆ファラデー効果、逆コットン・ムートン効果などの逆磁気光学効果によって、より高い自由度で超高速にコヒーレント磁化制御することを目的とする。本年度は、フェリ磁性ガーネット試料において、磁気光学時間分解ポンプ・プローブ測定を行い、鉄イオンと希土類イオンのスピン間の交換モードを観測した。また、詳細な位相解析から交換モードの回転ヘリシティは、強磁性共鳴モードと同じであることが判明した。また、強い面直磁気異方性を有する試料においては、周期300 GHzと4.2 THzの振動を確認した。これらは興味深いポンプ・プローブ偏光依存性を示すことがわかり、さらなる解析が必要である。電気磁気効果を示す物質において、逆ファラデー効果によって生じる有効磁場を介した相転移の可能性を探った。試料の複屈折をさけるために、試料の方位出しを行い、液体ヘリウム温度・強磁場下での測定システムを構築した。反強磁性体NiOにおいて、逆ファラデー効果と逆コットン・ムートン効果によるマグノン生成効率の比較を行い、逆コットン・ムートン効果による高い効率が示された。また、Sドメインの分布に関する知見を得ることができた。軌道角運動量が部分的に消失していない反強磁性体CoOにおいて、マグノンのラマン散乱と磁気光学時間分解ポンプ・プローブ測定を行い、軌道角運動量を反映した高い散乱能が確認された。
2: おおむね順調に進展している
実験室の移転(九州大学箱崎キャンパス→伊都キャンパス)を完了し、研究を軌道に乗せることができた。システムの立ち上げは順調に終え、測定を開始することができた。
今後は、関連研究者と密接に連携しながら、研究を推進していく予定である。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 9件、 招待講演 9件) 備考 (1件)
EPL (Europhysics Letters)
巻: 117 ページ: 67001-1-5
10.1209/0295-5075/117/67001
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https://ocmp.phys.kyushu-u.ac.jp/