高分子半導体は共役系有機分子が重合した系であり、溶解性、溶液塗布による均質成膜性、低温プロセス性、機械的柔軟性に優れた電子材料である。しかしながら、高分子半導体は構造の乱れや欠陥が多いため、伝導機構は専ら局在した電子によるホッピングであるとの考え方が根強く、移動度はせいぜい一桁cm2/Vs程度に留まると考えられてきた。本研究では、10 cm2/Vsを超える高い移動度やその温度依存性、ホール効果の測定に基づき、一部の高分子半導体においてはバンド伝導が実現可能であることを明らかにし、さらに高分子半導体における構造とバンド伝導発現の相関について詳細に解析した。
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