研究課題
電荷ガラス相を創出する際に必要な臨界冷却速度を決める要因に、幾何学的フラストレーションの他に、試料体積も効いていることが分かった。これは定性的には微小液滴がガラスになりやすいことに対応していると考えられる。試料サイズと臨界冷却速度の対応関係について精査することで、試料が小さい程、臨界冷却速度が低いことが分かった。また核生成理論からこの傾向は説明できることが分かった。以上の成果は、電荷ガラスを探索する上での重要な指針になると考えられる。さらにこのような試料サイズと臨界冷却速度の関係は、必ずしも有機導体における電荷ガラス現象に限ったものではなく、たとえば1T-TaS2やIrTe2においても同様な傾向が見られることが分かった。試料サイズと冷却速度を相補的に制御することで、様々な系において過冷却電子状態を見出すことが可能になると期待される。またこの他にもナノ秒パルスレーザーを用いた超急冷技術により、電荷ガラスなどの新奇な準安定状態の探索を行った。その結果、タングステンをドープしたVO2薄膜試料において、本来は絶縁体を基底状態に持つのに対し、ナノ秒レーザー照射後は金属状態が過冷却状態として実現することが分かった。さらにレーザーを絞ることで、このような過冷却状態を空間の任意の場所に書き込むことに成功した。過冷却金属相は適当な温度に昇温することで、V原子二量体を持つ、絶縁体状態へと緩和していくことが分かった。このような準安定電子相の緩和現象は、電荷ガラスが電荷結晶へと緩和してくそれと、よい定性的な対応が見られた。これらの成果は有機導体における電荷ガラスに関する一連の知見が、酸化物などの物性にも関連する普遍的なものであることを示している。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Crystals
巻: 7 ページ: 106-1-12
10.3390/cryst7040106
Science advances
巻: 未定 ページ: 印刷中
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