細胞や細胞膜モデルでは、異常拡散を含む非平衡現象が生じることが近年報告されていた。我々はその要因として、高濃度の高分子溶液をミクロ空間に閉じ込めると、高分子の混み合いが顕著化して粘弾性的となり、バルクとは異なる振る舞いが生じるためであると考えた。本研究では、高分子溶液を閉じ込めた細胞モデルでの分子拡散・膜界面揺らぎ等の解析を通じてこれを検証し、膜界面と高分子の相互作用が生み出す非平衡現象を解明することを目的とした。その結果、高分子混雑とミクロサイズ閉じ込めの両方が実現される時、バルクとは異なる分子拡散が生じることや、細胞膜モデルが内部粘性に応じて異なる変形プロセスを示すことを見出した。
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