研究課題
南アジアでは、衛星観測データから移動性メソ対流系を検出し、統計解析を行った。1998年~2015年の期間で、南アジアの移動性メソ対流系の発生数は減少していることが初めて指摘された。特に、ベンガル湾で発生し北進する対流系とバングラデシュやインド北東部で発生し南進する対流系で、発生数の有意な減少が確認された。当該地域周辺における南西風が弱まっていることが減少の原因として挙げられる。このようなメソ対流系はバングラデシュにおける大雨日の約40%に存在していることが確認されており、観測された強い降水イベントの変動要因であると考えられる。温暖化に伴う気候変動が地域規模の降水変動に与える影響を適確に予測するためには、メソ対流系のように降水をもたらす擾乱の構造や発生環境がどのように変化するのかを評価することが極めて重要であることが分かった。東アジア地域においては、1996年以降の23年分の静止気象衛星データを解析し、メソ対流系の発生環境に関して、初めて統計的な解析を実施した。顕著な日変化を呈し午後に発達のピークを迎えるようなメソ対流系は、発生数時間前の午前10時において、周囲の地表面温度が空間方向に不均一であることが分かった。すなわち、午前の地表面温度の特徴を調べることで、午後に発生する活発な積乱雲の発生場所を確率的に予測できる可能性が示唆された。日本周辺においては、大規模アンサンブル実験データを解析し、100年に1度発生するような低頻度の月降水量偏差について調べた。温暖化に伴う気温上昇に対応して、月単位の異常多雨が増加する傾向があるものの、国内の地域間で特徴は異なっていた。また、ENSOに対応した熱帯低気圧活動の偏差を簡易的な軸対称モデルを用いることで概ね再現できることが分かった。季節予報や古気候実験等において、簡易的な手法で熱帯低気圧活動を復元できる可能性が示された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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