当初の予定では、単一粒子光散乱法と単一粒子レーザー白熱法を用いてブラックカーボン粒子の散乱断面積、吸収断面積を同時測定し、そこから複素屈折率を導出する方法論を構築する予定であった。予備実験の過程で、自動車や製鉄所から発生する人為起源の酸化鉄粒子を、ブラックカーボンや自然起源の酸化鉄粒子と区別して検出できることを発見し、その手法を確立した。人為起源酸化鉄粒子の多地点の観測データと数値シミュレーションを用いて、全球大気中の濃度および放射強制力を世界で初めて評価した。また、より複素屈折率の虚部に感度の高い測定原理である、単一粒子消散法を新たに考案し、その計測の理論モデルおよび実験系を完成させた。
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