地球表層環境を構成する水は、地表の岩石との反応により含水鉱物を作り、プレートの沈み込みとともにマントル内に運ばれる。したがって、含水鉱物が脱水分解せずに存在できる温度圧力条件を知ることは、高温高圧下の地球内部の水の循環機構を知るための重要な手掛かりとなる。本研究課題において、放射光X線および高圧発生装置を用いた実験と、量子力学に基づいた数値計算により、超高圧下で脱水分解しない新しい含水鉱物が複数発見された。研究結果によると、水は地表からマントルと地球中心核の境界付近の 2,900km程度の深さまで運ばれる可能性があり、この領域における水の挙動の研究が必要とされる。
|