研究課題
平成30年度は、前年度に測定を行った、南部チリ沖の硝酸の窒素・酸素同位体比について、他の物理・化学・生物観測項目も含めた詳細な同位体解析を行い、当海域の窒素循環について考察した。また、平成30年11月~平成31年1月に行われた学術研究船「白鳳丸」のKH-18-6 Leg2・Leg3航海に参画し、ベンガル湾の南北側線とWOCE-I10側線において、N2O関連化合物の同位体・同位体分子種比測定用の試料の採取と、硝化・硝化脱窒・脱窒速度測定用の船上培養実験を行った。さらに今年度は最終年度であるため、本課題で開発した「海洋生態系・同位体分子種モデル」を全球海洋へ拡張した。前年度までに硝化プロセスの改良と窒素固定と脱窒過程の導入を行ったYoshikawa et al.(2016)のモデルと、あらかじめ大気海洋結合モデル(MIROC3.2)によって計算された産業革命前の海洋物理場を用いて、オフライン計算を行い、各種同位体・同位体分子種比の全球分布を推定した。また、文献値と今年度までに測定されたN2O関連化合物の同位体・同位体分子種比、硝化・硝化脱窒速度を、モデルと比較可能な形式へまとめ、モデルの評価を行った。モデルで計算した表層水中の硝酸と沈降粒子の窒素同位体比の全球分布は、窒素固定が起こっている亜熱帯海域で低く、水柱の脱窒が起こっている東部熱帯太平洋で高い値を示し、観測された窒素同位体比と良く一致した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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