時々刻々と内部環境を変化させる様々な材料系中に、柔軟な分子骨格をもつ独自の有機発光体(FLAP)をドープし、発光分子の動きとそれに伴う蛍光色変化を追跡することで、材料内部の環境変化をリアルタイムに可視化する「マテリアルイメージング技術」を確立することができた。具体的には、エポキシ樹脂の重合に伴う硬化過程をその場で簡便に可視化したり、ポリウレタン高分子フィルムの主鎖や架橋点にかかる応力集中を評価したりするための分子科学的な基盤技術を構築することに成功した。また、粘度プローブや張力プローブとしての応用の他にも、独自の分子系FLAPを基盤とした多彩な機能材料を開発し、急速に研究を発展させることができた。例として、光で剥がせる液晶接着材料「ライトメルト接着材料」の開発や、溶液中で200%効率のシングレットフィッション(一重項分裂)を示す分子の開発などが挙げられる。これらの成果は、オープンアクセス誌を含む複数の一流国際誌における論文掲載、招待講演を含む国際シンポジウムにおける口頭発表、オープンイノベーションを見据えた特許出願などを経て広く公開された。これにより、社会的な価値を生み出すための普遍的な分子プラットフォームとして、独自の分子系FLAPの認知度はますます高まっており、国内外・産官学を問わず注目されるようになった。今後、さらにFLAP分子のライブラリーを充実させるとともに、FLAPシリーズの多彩な材料機能を発掘する。本研究支援により、日本初の機能分子がリードする、新たな研究領域を開拓するための礎ができた。
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