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2015 年度 実績報告書

非平衡系を操る精密超分子重合

研究課題

研究課題/領域番号 15H05483
研究機関国立研究開発法人物質・材料研究機構

研究代表者

杉安 和憲  国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (80469759)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード超分子化学 / 超分子ポリマー / アゾベンゼン
研究実績の概要

平成27年度はアゾベンゼン誘導体の合成とその超分子ポリマー化について検討した。6種類のアゾベンゼン誘導体を合成し、そのうち2つが1次元の超分子ポリマーを形成することを明らかにした。また、シス体へと光異性化すると超分子ポリマーを与えないこともわかった。
超分子ポリマーの成長に関して、Meijerらによって提案されているCooperativeモデルに加え、van’t Hoffプロットから熱力学パラメータを決定した。また、光異性化については、Arrheniusプロットから活性化エネルギーを求めた。これらの値をもとに、光異性化と超分子ポリマー化がカップルされたエネルギーランドスケープを描くことができた。
超分子ポリマーに対して超音波照射することによって超分子ポリマーを分断することができ、これを種(開始剤)として用いて、リビング超分子重合を試みた。種とアゾベンゼンのシス体を混合し、ここに可視光を照射することによって、シス=>トランス異性化を行ったところ、トランス体となったアゾベンゼンは、種に会合し、その結果として超分子ポリマーが成長した。すなわち、超分子ポリマーの光連鎖重合に成功した。
また、以前から研究しているポルフィリン誘導体についても新しい展開があった。超分子集合体が示す時間発展現象とエネルギーランドスケープの相関を明らかにするために、さらに多くのポルフィリン誘導体を合成し、その自己集合プロセスを精査した。具体的にはポルフィリン分子に修飾したアルキル鎖の長さを、ブチル基からヘプチル基まで変え、その超分子集合体形成をスペクトルおよび顕微鏡観察によって評価した。今後は、これらの分子の自己集合プロセスに関するメカニズムの解明に取り組む。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は、我々が以前に報告したリビング超分子重合メカニズムのエッセンスを抽出し、超分子ポリマーのリビング重合系をさらに2例以上提示することによって、精密超分子重合の分野を大きく前進させることである。平成27年度に、アゾベンゼンを用いることによってもリビング超分子重合が可能であることを示すことができた。本手法は我々の従来のコンセプトの一般性を示すだけでなく、時空間的なリビング超分子重合を可能とする新しい方法論となると期待される。

今後の研究の推進方策

我々のリビング超分子重合の初報では、ポルフィリン分子を用いた。このポルフィリン分子がリビング超分子重合できるメカニズムは既に明らかになっている。しかしながら、分子構造とメカニズムの相関は明らかになっていない。重合メカニズムのエッセンスを抽出するためには、この相関を明らかにする必要がある。そこで、今後は、ポルフィリン誘導体を複数さらに合成し、そのリビング超分子重合を試みる。
また、平成27年度に着手したアゾベンゼン分子の光リビング超分子重合については、さらに研究を展開し、その一般性を示す。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件、 招待講演 9件)

  • [国際共同研究] Universitat Wurzburg(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      Universitat Wurzburg
  • [雑誌論文] アミロイド線維のように成長する超分子集合体: メカニズムの解明と時間発展プログラム2015

    • 著者名/発表者名
      福井智也,大城宗一郎,竹内正之,杉安和憲
    • 雑誌名

      生物物理

      巻: 55 ページ: 154-156

    • DOI

      10.2142/biophys.55.154

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 超分子ポリマーの長さをそろえる2015

    • 著者名/発表者名
      杉安
    • 雑誌名

      現代化学

      巻: 9月号 ページ: 32-36

  • [雑誌論文] Mechanism of Self-Assembly Process and Seeded Supramolecular Polymerization of Perylene Bisimide Organogelator2015

    • 著者名/発表者名
      Soichiro Ogi, Vladimir Stepanenko, Kazunori Sugiyasu, Masayuki Takeuchi, Frank Würthner
    • 雑誌名

      J. Am. Chem. Soc.

      巻: 137 ページ: 3300-3307

    • DOI

      10.1021/ja511952c

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 超分子ポリマーの精密合成2015

    • 著者名/発表者名
      杉安 和憲
    • 学会等名
      高分子講演会(東海)
    • 発表場所
      信州大学
    • 年月日
      2015-12-18 – 2015-12-18
    • 招待講演
  • [学会発表] 絶縁被覆された共役系高分子の物性と機能2015

    • 著者名/発表者名
      杉安 和憲
    • 学会等名
      高分子茨城地区講演会
    • 発表場所
      筑波大学
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-01
    • 招待講演
  • [学会発表] Dynamic Ordering of Supramolecular Assemblies Developed on a Complex Energy Landscape2015

    • 著者名/発表者名
      K. Sugiyasu
    • 学会等名
      4th International Symposium on Dynamical Ordering of Biomolecular Systems for Creation of Integrated Functions
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2015-11-22 – 2015-11-23
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 孤立化されたπ共役系高分子の物性と機能2015

    • 著者名/発表者名
      杉安 和憲
    • 学会等名
      名古屋大学大学院理学研究科 学生セミナー
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2015-10-30 – 2015-10-30
    • 招待講演
  • [学会発表] Living Supramolecular Polymerization2015

    • 著者名/発表者名
      K. Sugiyasu
    • 学会等名
      International Conference on Advanced Polymers via Macromolecular Engineering
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2015-10-18 – 2015-10-22
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Living Supramolecular Polymerization2015

    • 著者名/発表者名
      K. Sugiyasu
    • 学会等名
      International Symposium for Photo- and Electro-Molecular Machine
    • 発表場所
      Toulouse
    • 年月日
      2015-10-05 – 2015-10-09
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Living Supramolecular Polymerization2015

    • 著者名/発表者名
      K. Sugiyasu
    • 学会等名
      IMS Asian International Symposium, Institute for Molecular Science
    • 発表場所
      分子科学研究所
    • 年月日
      2015-06-12 – 2015-06-13
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 非平衡系を操る精密超分子重合2015

    • 著者名/発表者名
      杉安 和憲
    • 学会等名
      15-1超分子研究会
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2015-05-15 – 2015-05-15
    • 招待講演
  • [学会発表] Living Supramolecular Polymerization2015

    • 著者名/発表者名
      K. Sugiyasu, T. Fukui, S. Ogi, M. Takeuchi
    • 学会等名
      π-System Figuration
    • 発表場所
      大阪 中之島
    • 年月日
      2015-04-30 – 2015-04-30
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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