研究実績の概要 |
平成28年度は、アゾベンゼン誘導体を用いた光制御リビング超分子重合に成功した(J. Am. Chem. Soc. 2016, 138, 14347)。アゾベンゼンの光異性化と、超分子ポリマー化を組み合わせることで、速度論的に超分子ポリマーの成長を制御できることを実証した。この時、超分子ポリマーの成長速度は、光異性化に用いる可視光の波長や強度によって調節できる。したがって、本手法は、リビング超分子重合の新しい手法として興味深いだけでなく、超分子ポリマー化を時空間的にコントロールする手法としても展開できると期待される。
また、以前から研究を進めているポルフィリン誘導体については、平成27年度に発見した『分化現象』のメカニズムを解明した。非常に興味深いことに、1次元および2次元の自己集合は異なるメカニズムで進行するため、それぞれ独立に制御する事が可能であった。2014年に報告したリビング超分子重合の手法を用いる事によって、本系に対しても1次元および2次元の両方でリビング超分子重合を達成した(Nature Chem. 2017, in press)。
ポルフィリン誘導体の側鎖を変えることによって、自己集合における核形成の速度定数を調節できる事を明らかとした。これは核形成過程のエントロピーに影響を受けていた。核形成速度がことなる誘導体は、異なるサイズの集合体を与えた。リビング超分子重合とは異なる方法で超分子集合体のサイズを制御できる手法として興味深い(Polymer, in press)。
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