ポルフィリン誘導体の超分子ポリマーについて、2種類以上のモノマー分子が共存した場合にどのような超分子ポリマーが得られるかを調べた。本研究によって、ブロック超分子ポリマーの合成が非常に難しいことが明らかとなったが、一方で、わずかに分子構造の異なるモノマー分子が共存するだけで、超分子ポリマーのモルフォロジーが大きく影響を受けることが明らかとなった。
ブロック超分子ポリマーの合成のために、水素結合部位を増やしたポルフィリン誘導体を設計・合成した。このモノマー分子は強固な水素結合によって超分子ポリマーを形成した。上記の通り、われわれのグループではブロック超分子ポリマーの合成に成功していなかったが、水素結合部位を増やしたポルフィリン誘導体の場合には、亜鉛錯体と銅錯体のポルフィリン分子からなるブロック超分子ポリマーを合成できることがわかった。これは、亜鉛ポルフィリンと銅ポルフィリンの接合部位が強固な水素結合によって安定化されるためと考察される。現在、得られたブロック超分子ポリマーの物性と機能について研究を展開している。
これまでの研究から、ポルフィリン誘導体の側鎖の構造のわずかな違いが超分子ポリマーの安定性に影響することがわかっている。今年度に新たにフルオロアルキル鎖を有するポルフィリン誘導体を合成し、その自己集合挙動を調べた。非常に興味深いことに、このポルフィリン分子の超分子ポリマーは、らせん状の成長することがわかっている。この成長メカニズムを種々の測定によって明らかにして行く予定である。
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