研究課題
最終年度の研究計画に則り、新たな配向性官能基のデザインと、それを用いた新規銅触媒炭素ー水素結合官能基化反応の開発研究を行った。その結果、フェノール性水酸基に対する新規二座型配向基の設計、開発に成功し、銅触媒炭素ー水素結合直接アミノ化反応を見出した。また、この配向基は脱着が極めて容易であり、回収、再利用も可能である。本研究はアルコール類の炭素ー水素結合官能基化反応において、二座型配向基の有効性をはじめて実証したものであり、その学術的意義は極めて大きいと考えられる。また、その反応機構も計算化学を用いることにより明らかとした。現在成果をフルペーパーとして投稿中である。さらにこの概念を発展させ、安息香酸を用いたフェノール類の銅触媒新規直接アリール化反応にも成功している。本反応では脱炭酸を伴いながらフェノールの炭素ー水素結合を直接的にアリール基に置換できる。この結果についても現在論文を執筆、投稿準備中である。一方で、アミノ酸ミミック分子としてアルファーアミノボロン酸に着目し、その新たな合成ルートの開発に成功した。すなわち、適切な銅触媒存在下、ジボリルアルカン類に求電子的アミノ化試薬を作用させることでモノ選択的アミノ化が進行し、対応するアルファーアミノボロン酸誘導体を与える。関連するアミドミミック分子であるアルファートリフルオロメチル基置換アミンの新たな触媒的不斉合成にも成功している。これらの成果もすでに取りまとめており、現在学術論文として投稿中である。さらに、銅触媒と同じくユビキタス元素であるニッケルの触媒性能に関しても検討を行ったところ、エポキシドならびにオキセタンをカップリングパートナーとするニッケル触媒炭素ー水素結合直接アルキル化反応を見出した。従来用いられていたパラジウム触媒系とは相補的な立体特異性を発現する等、ニッケルに特徴的な性質を明らかにした。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
Organic Letters
巻: 21 ページ: 1467-1470
10.1021/acs.orglett.9b00219
Chemistry-A European Journal
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1002/chem.201900543
Asian Journal of Organic Chemistry
10.1002/ajoc.201900190
巻: 20 ページ: 3553-3556
10.1021/acs.orglett.8b01323
巻: 20 ページ: 3670-3673
10.1021/acs.orglett.8b01470
巻: 24 ページ: 10975-10978
10.1002/chem.201802491
Angewandte Chemie International Edition
巻: 57 ページ: 11797-11801
10.1002/anie.201807664
巻: 24 ページ: 13089-13092
10.1002/chem.201803225
Journal of Synthetic Organic Chemistry, Japan
巻: 76 ページ: 1206-1214
10.5059/yukigoseikyokaishi.76.1206
巻: 20 ページ: 7965-7968
10.1021/acs.orglett.8b03534