本研究では超分子ポリマーの連鎖重合を実現する汎用的戦略の開発に取り組んでいる。昨年度の研究を通してアミド基を有したモノマーにアルコールを加えることで自発的な超分子重合を制限しモノマーとして単離できること。またそこにポリマーを加えると、加えたポリマーは脱重合せずに、そのポリマーを開始剤として重合が開始出来ることを明らかにした。この超分子連鎖重合は現在までに4種類のモノマーで実現が確認されている。前年ながらこれまでの研究ではまだ開始剤の開発には至っておらず、常にポリマー自身を開始剤として使わなければならず、真の連鎖重合とは言えない状況である。今年度は開始剤の開発に注力を注ぐ予定である。 また、得られたポリマーの解析方法として、動的光散乱法、2色円偏光分光法、DOSY NMRによる拡散速度の評価方法、 ならびにAFMによる直接的長さ評価を行ってきた。しかしながら、これらの手法では分散度の評価は難しく、得られたポリマー全体の分布を真に評価しているとは言いがたい。GPCによる解析ならば、ピークの形状より多分散度が評価できるのだが、溶媒としてある程度の極性溶媒を用いる必要があり、そのような条件では超分子ポリマーが脱重合してしまうという難点がある。現在までに様々な溶媒を検討してきたが、成功に至っていない。今年度は違う種類のカラム(ポアサイズがもっと大きいもの)を用いることでこの問題に挑む予定である。
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