本研究では超分子ポリマーの連鎖重合を実現する汎用的戦略の開発に取り組んできた。これまでアミド基を有したモノマーにアルコー ルを加えることで自発的な超分子重合を制限し、モノマーとして単離できること、またそこにホモポリマーを加えることで、そのホモポリマーを開始剤として重合が開始できることを明らかにした。また、上記を調べる過程で、アルコールを共存下でモノマーを加熱すると、加熱により超分子重合が進行するという新しい系を見出した。このような系はこれまで報告がなく新しい超分子重合の可能性を見出した。特に温度を上げるだけでなく、温度を下げることに寄 っても重合が進行するという、極めて珍しい現象であることが明らかとなった。今年度はさらにその系を掘り下げ、一体いくつのアルコールがモノマーに相互作用すると脱重合が起こるのか、オランダとの国際共同研究を通じてシュミレーションに予測し、詳細なメカニズムについて議論した。また同時に、アルコールの量、種類を検討し、また溶媒のもたらす効果に関しても詳細に検討した。さらにモノマーであるポルフィリンに関しても、中心金属の効果、側鎖の分子設計を検討することで、加熱によって超分子重合が駆動される分子論的メカにムズに関し考察し、一般的な理論体系の確立を目指した。本研究成果は現在論文に執筆中であり近々投稿予定である。また、最終年度は無溶媒条件下での超分子重合の応用に関しても検討を行った。
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