研究実績の概要 |
本研究では, 発光タンパク質ルシフェラーゼを基盤とした定量性の高いタンパク質活性センサーを開発する. 同センサー及び光学システムを利用した生きた細胞集団のイメージングによって, 個々の細胞のタンパク質活性が, 細胞集団全体では互いにどのように相関を持っているのか経時データを取得し明らかにする. 最終的に, 細胞間コミュニケーションを説明付ける制御モデルを構築する. 本年度は前年度に引き続き, 高発光強度のルシフェラーゼを用いて, ルシフェラーゼ再構成法の原理もしくは, ルシフェラーゼ発光のエネルギーで近傍の蛍光タンパク質を励起する「BRET」の原理を利用したセンサーを開発した. 具体的には, 細胞内遊離ヘム検出するセンサープローブを, BRET法を基本として開発した. 同センサーは細胞のヘムを増減させる条件において発光カウントによるレシオを変化させたことから, ヘムの定量が可能なことを示した. 次に, それぞれの細胞のタンパク質活性及び細胞間での経時的な違いをリアルタイムに発光イメージングする顕微鏡システムの構築を行なった. 市販の倒立型蛍光顕微鏡を基盤に冷却型EM-CCDカメラを設置し高感度で迅速に発光像を撮影できるようにした. また, 2分岐型分光フィルターを光路に組み込むことで,フィルターの切り替えを行うことなく同時に2派長像を撮影できるシステムとした. さらに蛍光撮影用光源, 電動ステージを取り付け, 装置の暗箱を開閉することなく発光像, 蛍光像, 明視野像を任意のXY位置で撮影できる装置とした. 前年度及び今年度開発したタンパク質活性発光センサーを用いて, センサーを導入した培養細胞において, 細胞密度や各種シグナル刺激剤の添加により発光が予想通り変化する事を発光観察顕微鏡システムによって確認した.
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