分子動力学手法により,MWCNTの層間に架橋結合を導入することで,最外層のCNTに負荷した荷重は内層のCNTに伝達することが示された.架橋結合を導入することで公称強度は向上し,さらには欠陥敏感性が改善することがわかった.MWCNTの力学的特性を支配する構造欠陥種を明らかにするともに,熱処理を施すことで構造欠陥の低減が図られることを示した.2400度の温度条件で熱処理を行ったMWCNTは,未処理のものに比べて大きな有効強度とヤング率が得られた.複合材料においては,MWCNTの多重破断が発生する前に低い界面滑り抵抗に起因してMWCNTの引き抜け挙動を伴う主き裂が発生したことが理論的に示された.
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