本研究では,渦流中における可燃限界拡張,および高速熱伝達現象を解明するべく基礎研究を行ったほか,小型渦流燃焼器を用いた次世代型小型発電システムの開発を行った. 渦流中を伝播する火炎に対してレーザー計測を行い,様々な混合気において消炎付近での火炎先端温度が約1200℃であることを明らかにした.このことから,渦流によって燃焼範囲が拡大するのは,ルイス数効果や圧力拡散等の効果によって火炎先端が増加することに起因することが判明した. 渦流中における高速熱伝達現象については,メタン・プロパン・ブタンといったいくつかの燃料で伝熱評価を行い,未燃混合気の旋回速度によって熱伝達が大きく変化することを明らかにした.また,接線方向吹き出し速度を用いたレイノルズ数を用いて評価を行うことにより,旋回流中での熱伝達が接線方向速度によって支配されていることも明らかとした. 以上の渦流による可燃限界拡張現象,および高速熱伝達現象を応用し,世界的にも例を見ない高出力小型発電システムの開発にも取り組み,出力20Wを超える小型燃焼器(5^3cm3)の開発に成功した.この値は,小型燃焼発電システムとしては世界第一である(第二位は米国カルフォルニア州立大学Dunn-Rankin教授のグループによる10W),エネルギー密度は最大で176MW/m3のである.さらに,燃料・空気供給を含む全てを自立した小型自立発電システムの構築にも成功し,重さ500gのシステムで,完全自立で出力10Wの出力を達成した.
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