ストリーマ放電に由来する化学活性種については、石油の燃費を飛躍的に向上させる燃焼技術や環境汚染物質の浄化技術、がん細胞の選択的治療など、画期的な応用事例が数多く提案されている。安全安心な未来型社会を早急に実現すべく、無限の可能性を秘めた活性種の効果的・効率的活用はまさに急務であり必須であるといえる。このように、化学活性種の応用技術は、日々深刻化する社会問題の救世主と期待されるがその生成機構は未解明である。活性種は電子との衝突で生み出されるため、活性種の生成機構は電子密度によって決定される。しかし、ストリーマ放電の特性時間は1nsと非常に短く、さらに放電路の再現性や電子密度も低いため、既存のセンサでは電子密度を測定できない。電子密度の測定は、活性種の生成機構を解明し制御・実用化へと繋げる上で必須であるが、適用可能な電子密度測定技術は現在皆無である。 こうした背景のもと、本研究ではストリーマ放電内の電子密度測定を行うべく、平成27年度にプロトタイプセンサの開発及び当該センサの改良を行った。 さらに、急峻な立ち上がりを有する電圧発生器の作製を行った。 つづいて平成28年度はこの電圧発生器を用いて大気中にストリーマ放電を発生させ、放電発生のタイミングが30ns以下に抑えられていることをICCDカメラにより撮影した。 そして、先述の改良型センサを適用することで、大気中における1次ストリーマ内の2次元電子密度分布が測定できるとの見込みを得た。
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