研究課題/領域番号 |
15H05529
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
矢代 大祐 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60607323)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 制御工学 / 情報通信工学 / 機械力学・制御 / 超高速情報処理 / 電気機器工学 |
研究実績の概要 |
メッシュネットワーク(端末同士が相互に通信を行うことにより、メッシュ状に形成された通信ネットワーク)上でマスタとスレーブが双方向に制御信号・映像・音声を実時間通信(データが必ず一定時間以内に到着する通信)するバイラテラル制御系(力覚フィードバック機能を持つマスタ・スレーブ型遠隔操作システム)の研究開発に取り組んでいる。本年度は3班体制で下記の課題に並列的に取り組んだ。 【課題A1:STDMAスイッチの開発】FPGA(Field-Programmable Gate Array)を用いてアクセス制御方式にSTDMA(Synchronous Time Division Multiple Access)を用いる端末(STDMAスイッチ)を開発中である。LANポートに入力された信号をFIFO(First Input First Output)を経由せず直接出力ポートに流せるのが、STDMAの特徴である。 【課題B1:モーションコントローラの開発】STDMAテーブルから得られる制御信号の離散化レベル・伝送遅延の情報から制御ゲインを自動調整するモーションコントローラを開発した。また、Linuxを用いた実験によりアルゴリズムの有効性を確認した。今後、STDMAスイッチと同様に、FPGAボード上に実装をおこない、アルゴリズムの有効性を検証する。 【課題C1:実時間ライブビデオストリーミングシステムの開発】MPEG(Moving Picture Experts Group)などの既存のビデオ圧縮技術を用いると、画像サイズに応じて通信遅延時間が変動し、その影響がバイラテラル制御にも及ぶ。そこで、画像を一定サイズの小さいブロックに変換し、制御信号と同じパケットに詰めて送る方式を採用し、実時間画像通信を実現する。現在、Linuxを用いた実験により有効性が確認できている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果を、国内会議3件(内、招待講演1件)、国際会議2件で発信するなど、計画はほぼ予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き3班体制で下記の課題に並列的に取り組む。 【課題A2:メッシュネットワークの構築】STDMAスイッチを8台用いてメッシュネットワークを構築する。また、STDMAテーブルを自動生成するアルゴリズムを開発し、実機検証を行う。 【課題B2:バイラテラル制御系の構築】マスタ(2自由度マニピュレータ)2台とスレーブ(2自由度マニピュレータ)2台を開発する。これらのロボットをモーションコントローラに接続し、バイラテラル制御を行う。2自由度とは、2次元空間上での位置決めのための2自由度である。 【課題C3:STDMAメッシュネットワークのためのQoSトラフィック制御】何もしていない端末に実時間通信の機会を割り当てても資源の無駄である。一方で、精密さが求められる遠隔操作を行っている端末には、実時間通信の機会を多めに割り当てた方がよい。このように端末が扱っているタスクに応じてSTDMAテーブルを動的に調整する仕組みを開発する。
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