研究課題
平成28年度は,2015年長野県北部の地震によって発生した長野県白馬村の神城地区のダイナミック地すべりを対象に,臨時地震観測および常時微動計測を高密度に実施し,得られた記録に基づいて地すべり挙動を事後推定することに成功した.当該研究成果については,土木学会論文集や地すべりに関する国際会議にて発表を行った.また,当初計画で挙げていた神奈川県横浜市内の造成宅地を対象に,臨時地震観測および常時微動計測を高密度に実施し,得られた記録に基づいた強震動シミュレーションを実施し,首都直下地震(東京湾北部地震)による地すべり挙動を事前予測した.当該研究成果については,シンポジウム等で積極的な論文発表を行った.一方で,平成28年には大規模地震の強震動の作用による造成地すべりが多発した.一つは,2016年4月熊本地震による益城町市街地であり,もう一つは,2016年10月鳥取県中部の地震による白壁土蔵群地域である.益城町市街地では,4月14日の前震の発生を受け,翌日4月15日より臨時余震アレー観測を開始し,結果的に4月16日の本震の記録をキャッチすることに成功した.当該研究成果は,米国地震学会誌に掲載されるとともに,国内外でその成果が評価され,米国地震学会誌の表紙を飾ることとなった.白壁土蔵群地域では,倉吉市役所敷地内と白壁土蔵群の間の急傾斜に伴って地震時挙動が急変していた可能性が高いことを,臨時余震観測および常時微動計測に基づいて明らかにした.当該研究成果については,シンポジウム等で積極的な論文発表を行った.
1: 当初の計画以上に進展している
当初の研究計画では,首都直下地震(東京湾北部地震)による横浜市内の造成宅地のみを対象とする予定であったが,最近発生した大規模地震(2015年長野県北部の地震,2016年熊本地震,2016年鳥取県中部の地震)による市街地内に存在する造成地を対象とした検討を新たに実施し,知見を数多く積み上げることに成功しているため.
当初の研究申請では計画していなかったものの,偶然にも非常に貴重な記録が結果的に得られている,2016年4月熊本地震による益城町市街地,および2016年10月鳥取県中部の地震による白壁土蔵群地域を対象としたダイナミック地すべり挙動に関する検討を実施していく予定である.
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 10件、 謝辞記載あり 11件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (2件)
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