研究実績の概要 |
今年度、研究員は、湖沼・河川の溶存態リンの分析方法の開発を主に行った。現在のところ,溶存態リンの分析手法には,2通りの方法がある.1つ目の方法は,濾過湖水をそのまま凍結乾燥し,そこからリンを抽出して計測する方法である.2つ目の方法は,濾過湖水を何らかの方法で濃縮を行い,そこからリンを抽出して計測する方法である. 1つ目の方法は,非常にわかりやすい方法でもあるが,通常の湖水では10~20L程度の濾過・凍結乾燥が必要となるため,実践的とは言い難い.また、得られた分析結果は不鮮明で、化合物の分析をするのは難しい。そこで,本研究では,2つ目の方法の,濾過湖水を限外ろ過法で濃縮し,リンの形態を計測する方法の開発を行った. 方法は以下の通りである:分子量5000以上の分子量画分を濃縮するため,限外ろ過装置を連結させ,20Lの限外ろ過を行った.得られた濃縮液を凍結乾燥させる.この凍結乾燥サンプルについて,固相NMRを用いて分析を行う.その後,サンプル1について,NaOH-EDTAで抽出し,溶液NMRで分析を行う. 以上の方法を用いて分析を行うことで,湖水のリン化合物に関して形態分析を行うことができるようになった.solid のNMRでは、3種類程度の形態分析を行うことができるようになった。また、solution NMRを用いることで、orthophosphate, orthophosphate monoesters, orthophosphate diesters, pyrophosphateなど、より詳細な形態分析を行うことが出来るようになった。
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