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2016 年度 実績報告書

クオラムセンシングに着目したMBR法におけるバイオファウリング形成機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15H05535
研究機関金沢大学

研究代表者

本多 了  金沢大学, 環境デザイン学系, 准教授 (40422456)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード土木環境システム / 生物学的廃水処理 / 膜分離活性汚泥法 / クオラムセンシング / 細胞外バイオポリマー
研究実績の概要

[A]TEM-EDXによる膜面・膜内部バイオフィルム構成物質のマッピング:実験室規模MBRから採取した目詰まり後の膜,物理洗浄した膜,化学洗浄した膜,未使用膜の4サンプルを樹脂包埋・薄片作製し,透過型電子顕微鏡・TEMを用いて観察を行った。その結果,膜内には目立った粒子は観察されなかった。EDXによる元素分析の結果, 目詰まりおよび洗浄後の膜のいずれも,未使用膜の元素組成と大きくな違いは見られなかった。
[B] 実下水処理施設におけるAHLの存在確認と同定:金沢市とタイ・バンコクの計6箇所の下水処理場およびパイロットMBRプラントから活性汚泥を採取し,フーリエ変換型質量分析装置(FT-MS)にてAHLの検出を行った。その結果,3O-C6-HSLは比較的広範囲に検出された一方で,C8-HSLは金沢市の処理場に特異的に検出された。C4-および3O-C6-HSLは,活性汚泥法による処理場では水相中には検出されず汚泥粒子中にのみ検出されたが,MBRでは水相からも検出された。これらのことより,多くの種類のAHLが存在することを明らかにした。
[C]バッチ培養によるAHLの添加実験:昨年度実施したバッチ培養試験から得た微生物群集構造をAHL添加ありなしで比較した結果,C8-HSLを添加した系ではVerrucomicrobia,Chloroflexiに属するOTUの割合が増加した。
[D] 実験室規模MBR におけるクオラムセンシングによる汚泥のバイオポリマー生産への影響:クオラムセンシングに伴う活性汚泥のバイオポリマー生成について明らかにするため,標準活性汚泥法を模した実験室規模SBRにおいて,クオラムセンシングの阻害剤であるバニリンを添加した系としない系で比較した結果, クオラムセンシングを阻害した系ではバイオポリマー中の多糖とタンパク含量が減少することを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

H28年度までに予定していた[A]TEM-EDXによる膜面・膜内部バイオフィルム構成物質のマッピング,[B] 実下水処理施設におけるAHLの存在確認と同定 が,予定通り終了した。
また,H29-30年度に予定していた [C]バッチ培養によるAHLの添加実験 についても前倒しで終了し,[D] 実験室規模MBR におけるクオラムセンシングによる汚泥のバイオポリマー生産への影響についても,すでに実験室規模MBRの準備が整い,一部の成果が出始めている。
これらの進捗状況から鑑みて,H29年度にて当初計画の大部分を終了できる見込みであるため。

今後の研究の推進方策

実験室規模MBR におけるクオラムセンシングによる汚泥のバイオポリマー生産への影響について,実験室規模MBRにおいて,クオラムセンシングの阻害剤であるバニリンを添加した系としない系で,バルク汚泥および膜面付着汚泥のバイオポリマーを比較すると共に, TEMによる膜内観察,および次世代シーケンスによる微生物群集構造の解析より,クオラムセンシングがMBRにおける微生物群集構造とバイオポリマー生成,および膜ファウリングに与える影響を明らかにする。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] カセサート大学(タイ)

    • 国名
      タイ
    • 外国機関名
      カセサート大学
  • [学会発表] フーリエ変換型質量分析装置(FT-MS)を用いた活性汚泥中のN-アシルホモセリンラクトンの検出2016

    • 著者名/発表者名
      本多 了・Thanh Phan Phuong・飛野 智宏・Hong Nguon Phuc・野口 愛
    • 学会等名
      第53回環境工学研究フォーラム
    • 発表場所
      北九州国際会議場(福岡県北九州市)
    • 年月日
      2016-12-06 – 2016-12-08
  • [学会発表] Effects of acyl homoserine lactone on extracellular polymeric substances and microbial community in activated sludge under different aeration condition2016

    • 著者名/発表者名
      Phuc Nguon Hong, Tomohiro Ito, Mana Noguchi, Ryo Honda
    • 学会等名
      IWA Microbial Ecology in Water Engineering and Biofilm Joint Specialist Conference 2016
    • 発表場所
      コペンハーゲン(デンマーク)
    • 年月日
      2016-09-04 – 2016-09-07
    • 国際学会
  • [備考] 環境バイオマス工学研究室:研究テーマ

    • URL

      http://www.ce.t.kanazawa-u.ac.jp/~honda/research.html

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公開日: 2018-01-16  

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