本研究課題は,第一原理に基づいて革新的半導体材料を予測するための手法の開発することである. 新規材料を探索する際,従来は実験ですでに知られている結晶構造を網羅的に計算することがなされてきたが,このような計算では半導体材料に必要な,イオン化ポテンシャルや点欠陥特性といった物性を知ることができず,依然半導体材料の予測には十分とは言えなかった.しかしながら,この1,2年で状況が激変しており,最近ではより進んだ物性値の計算を網羅的にしようとする試みが始まろうとしている.その1つに点欠陥計算が含まれる.実際,我々の開発した欠陥形成エネルギー計算手法に関しても多くの問い合わせがあり,世界的な競争が起こり始めていることを強く感じとれる状況にある. そこで本年度は,過去に報告のない半導体の点欠陥計算を自動的に行うためのプログラムの開発を行った.これにより,構造情報を入力するだけで点欠陥の性質を計算することが可能な状況になりつつある.今後は様々なテストを通じて,プログラムの堅牢性を高めていきたいと考えている.
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