研究課題/領域番号 |
15H05544
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
藤森 利彦 信州大学, 先鋭領域融合研究群環境・エネルギー材料科学研究所, 准教授(特定雇用) (60586824)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | カーボンナノチューブ / 一次元伝導体 / 硫黄 |
研究実績の概要 |
本研究がめざす「電荷介在型の一次元硫黄/カーボンナノチューブ複合体」の合成に着手した。具体的には、予め一次元硫黄を内包したカーボンナノチューブを作製し、次いで気相導入法によりハロゲン系ヘテロイオン(ヨウ素イオン)を一次元硫黄/カーボンナノチューブの間隙に挿入する手法を確立した。また、ハロゲン系ヘテロイオンの挿入量を制御するため、イオン挿入過程における電気抵抗変化を逐次モニタリングできる同時合成・分析システムを構築した。電子状態の定まった金属型/半導体型カーボンナノチューブ(単層及び二層)を用いたことで、ヨウ素イオンと一次元硫黄/カーボンナノチューブとの電荷相互作用の違いを反映した電気伝導特性を明らかにすることに成功した(論文投稿中)。 「電荷介在型の一次元硫黄/カーボンナノチューブ複合体」は、ナノとマクロの間をつなぐメゾスケール材料であることが特徴である。この特異なメゾスケール材料の電気伝導特性の評価を目的として、「その場走査型電子顕微鏡観察‐極低温電気伝導測定システム」を設計・構築した。絶縁基板上に密着した単一カーボンナノチューブ・バンドルにプローブ電極を接触させ、電気抵抗を計測することに成功した。電気プローブの間隔は1-2ミクロン程度まで近づけることができた。極低温条件を実現するための予備試験も良好であった。これにより、次年度に実施を予定している「電荷介在型の一次元硫黄/カーボンナノチューブ複合体」の極低温電気伝導特性実験を円滑に進めることができるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初から予定していた、1.へトロイオン挿入法の確立、2.「その場走査型電子顕微鏡観察‐極低温電気伝導測定システム」のセットアップが達成できた。また、基礎データも蓄積し始めており、一部の成果は論文投稿にまで至っている。以上、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 他のハロゲン系ヘテロイオン(臭素イオンや塩素イオン)についても挿入条件を調べていき、新規な「電荷介在型の一次元硫黄/カーボンナノチューブ複合体」を合成する。 (2) (1)で合成したサンプルについて、本年度に構築した「その場走査型電子顕微鏡観察‐極低温電気伝導測定システム」を利用してその電気伝導特性を調べ、初志目標の達成をめざす。
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