現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
前年の成果に基づいて、SrTiO3結晶の電圧印加下での原子分解能観察を行い、同様に前年度に構築を済ませていた原子位置を高精度で測定する技術を適用して、格子定数ならびに結晶格子内のTiイオンの位置について10pmオーダーあるいはそれ以下の確度ならびに精度を得ることができたのは当初に想定していた計画通り進んでいる。これは世界でも前例がない成果であり研究が順調に進んでいる証左である。 同手法は逐次、他の強誘電体材料に適用を進めており、チタン酸バリウム、マグネシウムニオブ酸鉛、PMN-PTなどで専用試料の作製が完了している。チタン酸バリウムでは低倍率でのドメインの動的挙動の観察も成功しており、原子分解能観察の準備も整ってきている。 また、本計画で初年度に構築した原子位置を精度よく決定する方法は適用できる範囲が広く、当初想定していなかった構造用セラミックスの窒化珪素の粒界偏析挙動の解明に適用することができた。偏析元素の位置を10pm程度の精度で決めることができ、粒成長挙動に偏析元素が与える影響を解明することができ、論文発表につながった。(Urakami et al., Journal of the American Ceramic Society, 2017) また、本計画の3年目に計画している、格子欠陥とドメインの動的挙動の相関性を明らかにするために行った材料解析も論文発表(Kasuya et al., Japanese Journal of Applied Physics, 2017)へとつながり、当初期待していなかった成果となった。
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