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2016 年度 実績報告書

ナノトポグラフィ金属表面における細菌の生命活動

研究課題

研究課題/領域番号 15H05547
研究機関京都大学

研究代表者

袴田 昌高  京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (30462849)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードナノ材料
研究実績の概要

前年度に引き続き、フィルム密着法に準じてナノポーラス金および平滑金上に大腸菌K-12を滴下し、24時間後の所与の相対湿度での生菌数を調べた。相対湿度が約60%のときにナノポーラス金の抗菌活性が平滑金と比べて大きくなった。一方で、相対湿度が約15%および90%で培養した場合のナノポーラス金の抗菌活性は平滑金の場合と大差なかった。
相対湿度約15%での培養後では乾燥により菌液がほとんどなくなっており、ナノポーラス金・平滑金のいずれにおいても生菌数が少なくなっていた。相対湿度が低い場合には(基板の影響でなく)乾燥によってナノポーラス金・平滑金のいずれにおいても菌が死滅したことが示唆される。
また、相対湿度約90%での培養後は菌液が培養開始後とほぼ同じ量だけ残っており、相対湿度約60%での培養後に残っていた菌液の量は蒸発によりある程度減少していた。湿度が高く菌液が十分にある場合、細菌の基板への接触頻度が低く、それに対し、中間程度の湿度で菌液がある程度減少すると、細菌の基板への接触頻度が高くなると考えられる。中間程度の湿度でナノポーラス金の抗菌活性が高まったことは、ナノポーラス金の抗菌作用には細菌とナノポーラス金基板の直接接触が必要であることを意味している。これは従来の金属の抗菌機構、すなわち金属イオンや活性酸素等の拡散種による抗菌と大きく異なり、ナノポーラス金独自の抗菌機構があることを強く示唆する。
その他、走査プローブ顕微鏡でのその場観察等の条件も昨年度に引き続き整え、大腸菌の細胞膜の弾性率評価も開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

抗菌機構を詳細に明らかにすることができた。また、走査プローブ顕微鏡による大腸菌の細胞膜の機械特性評価も開始できた。

今後の研究の推進方策

予定通り、細胞膜の機械特性(弾性率)評価を続けるとともに、遺伝子発現解析等別の角度からも抗菌機構に迫る。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Antibacterial activity of nanoporous gold against Escherichia coli and Staphylococcus epidermidis2017

    • 著者名/発表者名
      Masataka Hakamada, Seiji Taniguchi and Mamoru Mabuchi
    • 雑誌名

      Journal of Materials Research

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] ナノ構造金属と細菌・細胞2017

    • 著者名/発表者名
      袴田昌高、馬渕守
    • 学会等名
      日本金属学会2017年春期(第160回)講演大会
    • 発表場所
      八王子
    • 年月日
      2017-03-16
  • [学会発表] 抗菌性ナノポーラス金と細菌細胞壁の相互作用の原子・電子シミュレーション2016

    • 著者名/発表者名
      宮澤直己、袴田昌高、馬渕守
    • 学会等名
      日本金属学会2016年秋期(第159回)講演大会
    • 発表場所
      豊中
    • 年月日
      2016-09-23
  • [学会発表] ナノポーラス金の抗菌性評価とメカニズム解明2016

    • 著者名/発表者名
      龍田星奈、袴田昌高、馬渕守
    • 学会等名
      日本金属学会2016年秋期(第159回)講演大会
    • 発表場所
      豊中
    • 年月日
      2016-09-23
  • [学会発表] ナノポーラス金属と細菌・細胞2016

    • 著者名/発表者名
      袴田昌高、加藤直樹、龍田星奈、新宮淳平、馬渕守
    • 学会等名
      日本金属学会2016年秋期(第159回)講演大会
    • 発表場所
      豊中
    • 年月日
      2016-09-22

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公開日: 2018-01-16  

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