研究課題
低濃度高分子溶液の複雑な流動挙動は,高分子と流体や,溶液内の高分子どうしの相互作用といった,nm,umスケール(マイクロスケール)の相互作用が,cm,mスケール(マクロスケール)という上位の階層に影響を及ぼす階層構造で説明できると考え,実験的に証明する事が目的であった.目的を達成するため,低濃度高分子溶液の流動挙動を,各スケールで観測・解析できるシステムを構築し,マイクロスケールでの相互作用が,マクロスケールの流動現象に与える影響を見いだし,その原因を詳細に検討した.H30年度は,以下の項目を達成した.(1)mスケールの実験では薄膜干渉流動画像法(FIFI)とPIV法から得られる情報を統合し,高分子を添加した二次元乱流の生成と減衰の様子を調べた.二次元乱流場での渦の発生周期は高分子溶液の伸長流動下での緩和時間に依存して変化することを見いだした.また,乱流エネルギーの生成項と消散項の解析から,高分子を添加した二次元乱流中のエネルギー輸送には高分子溶液の緩和時間や粘弾性に由来する乱れエネルギーの生成が生じていると考えられた.(2) um スケールの実験ではマイクロ急縮小急拡大流路中の高分子溶液の弾性不安定を解析し,弾性不安定には,これまでに提案されたワイゼンベルグ数や弾性数など溶液の粘弾性を代表値で表す指数よりも,溶液中の高分子の絡み合いが流動挙動に影響を与えていることを明らかにした.光ピンセットによるum スケールでの溶液の局所の粘度測定も行った.溶液の粘弾性が強くなると溶液内部に粘度の分布が見られることが示唆された.(3) nmからum スケールの実験では,走査型プローブ顕微鏡(SPM)に流路を組み込み,カンチレバー探針に付着した高分子流動抵抗の測定を行った.高分子の流動抵抗は流体中の高分子の形態変化に由来すると考え,モデル化し実験値と対応づけると,良好な一致を得た.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (34件) (うち国際学会 14件、 招待講演 4件) 備考 (2件)
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