本研究は、パルス超音波デコンボリューション法を用いた従来にない超音波流速分布過渡流量計の基礎システムを構築し、産業技術総合研究所の流量検定設備を用いた実流試験にて検証することを目的とし、本年度は、その基盤となるハードウェア及びソフトウェアを設計・試作した上で、産総研所有の流量検定設備にて基礎検証試験を行った。具体的には、超高速デジタイザを購入し、システム開発ソフトウェアLabVIEWによる超高速サンプリングシステムの基礎システムを構築した。また、パルス超音波デコンボリューション法の重要な要素技術である超音波伝搬面の極微小歪み検出アルゴリズムの構築に向け、超音波送信用のセンサ及び超小型の受信専用好感度センサを設計製作するとともに、実際に超音波送受信に関する基礎試験を実施し、成功している。また検出した超音波信号から流れに起因した遅れ時間の過渡変化を演算するアルゴリズムを検討、基本ソフトウェアを製作した。パルス超音波デコンボリューション法の高度化に不可欠なパワーアンプや超低ノイズプリアンプ等を選定・入手し、超音波の特殊形状パルスの送受信器を試作すると共に、実流試験にてその基本的な効果検証を行っている。上記で試作・構築したシステムにてパルス超音波デコンボリューション法を用いた流速分布過渡流量計の基礎システムを構築し、産総研所有の流量検定設備にて基礎検証試験を行った。加えて、従来不可能とされていたパルス超音波シングルパルスドップラー法に必要なハードウェア・ソフトウェアを検討・設計した。
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