研究課題
H28年度は、細胞への多波長光照射を効率よく行うための装置の仕様を確定し、一部の部品については購入し、予備試験を行った。次年度前半に全ての部品を揃え、光照射を実施できる見込みである。装置の製作を日本分光株式会社に委託したため、光照射装置の性能が大幅に向上する見込みとなり、本装置の特許出願も予定している。一方で、当初計画していた以上に装置の製作に予算を割くこととなり、光スイッチ機構の解明については当初の計画よりもやや遅れている。一方で、Leptolyngbya属シアノバクテリアから優れた光スイッチ機構を発見し特許を出願するなど、実用化については一定の進展が見られる。トータルとして研究は順調に進展しており、H29年度内に新たなオミクス手法の全パイプラインが完成する見込みである。次の解析対象とするシアノバクテリア種を絞り込むため、16Sリボソーム配列に基づく系統と光合成アンテナ調節機構(補色順化)の分布を比較したところ、光色感知機構遺伝子群の水平伝播が頻繁に起こっていることが示唆された。シアノバクテリアの全ゲノムシークエンスを網羅的に実施し、解析意義がある株を絞り込む必要性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
生物の光シグナル伝達経路を解明するために必要な多波長光照射装置の仕様を決定し、その製作を企業に委託し、H29年度前半に装置を納入できる目処がついた。さらに、本装置の特許出願の準備も行っており、装置開発については当初の計画以上に進展した。一方で、これまでの解析で同定した光スイッチ機構の解明の工程がやや遅れているため、トータルとしては研究はおおむね順調に進展していると判断した。
H29年度前半に、納入した多波長光照射装置を用いて光照射を行い、次世代シークエンサーによるトランスクリプトーム解析を実施する。シークエンサーはよりハイスループットな出力を得られるHiSeq2500を使用する。また、光照射装置の特許出願と遺伝子破壊株を用いた光スイッチ機構の解明も進める予定である。得られた成果を論文や学会等で積極的に発表していく。
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