光合成の水分解・酸素発生を担う光化学系II膜蛋白質(PSII)のpH4とpH9の結晶構造解析に混合緩衝液を使うことで2.0Å分解能で成功した。酸性と塩基性条件では、それぞれ異なる部位のプロトン輸送に関係する構造が変化しており、pHにより活性が低下する構造上の要因が明らかになった。一方、反応中間S2状態のPSIIの結晶構造解析はこのpH条件では困難なため、結晶の凍結温度を変える方法を試みた。PSII結晶をフィルム状になる粘性液体で保護することで、100Kから200Kに温度を上げても結晶性は劣化せず、また結晶に光を照射するとX線吸収分光分析から、励起状態を保ったPSII結晶であることが確認された。
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