研究課題
概日時計は分子から個体の各階層を時間・空間的に統合して生理現象の日内リズムを生み出す。申請者は低分子化合物を用いたアプローチが時計タンパク質CRYの特異的かつ定量的な操作と解析に有効であることを見出した。この知見に基づき本研究では概日時計の周期制御に中心的な役割を果たすPERとCRYの安定性および複合体形成に焦点を当て、これらのプロセスを狙った機能調節化合物を開発する。さらにSUMO化修飾に注目した解析を行う。独自のツールを用いて概日時計の発振機構の本質的な制御過程を明らかにすると共に自在な機能操作を目指す。本年度はPERとCRYの安定性および両者の相互作用を評価するためのアッセイ系を構築した。まず、PER1およびPER2とルシフェラーゼの融合タンパク質(PER1-LUCおよびPER2-LUC)を安定発現するHEK293細胞を作製した。これらの細胞においてCKI阻害剤を用いたPERの安定化により、発光強度が増加することを確認した。さらに、PER2とN末端側ルシフェラーゼおよびCRY1とC末端側ルシフェラーゼの融合タンパク質であるPER2-LUC/NとCRY1-LUC/Cを両方とも安定発現するHEK293細胞を作製した。この細胞においてPERとCRYの結合により、ルシフェラーゼ活性が回復して発光することを確認した。化合物スクリーニングに向け、これらの細胞を用いて384ウェルプレートでのアッセイ条件を最適化している。並行して、in vitroでのSUMO化の条件を検討している。
2: おおむね順調に進展している
計画通りPERとCRYの安定性および複合体形成に影響を与える化合物のスクリーニング系のセットアップに取り組み、順調に進展している。
スクリーニングによりPERとCRYの安定性および複合体形成に影響を与える化合物を探索する。また、SUMO化サイトの同定を試みる。
すべて 2015 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
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